災害派遣時の名もなき指揮官の勇気ある行動

リーダーシップとは?

 

僕は自衛官時代に、リーダーシップとは?

を多く学びました。

 

人それぞれ様々なリーダーシップの方法はありますが、

基本的な事は以下の要領で学びました。

 

指揮官の自主責任的な任務の遂行

指揮官は、状況の急変により適時これに

応ずる命令を受領できない場合にも、

全般の状況を考察し、新たな状況に応ずる

上級部隊指揮官の企図及び自己に与えられる任務を明察し、

状況の変化に応ずる最良の方策を決定し、

あらゆる困難を克服して自主積極的に任務を遂行しなければならない。

特に、部隊が分断孤立し、通信・連絡が途絶する等の

真に困難な状況に陥った場合にも、

指揮官は、遅疑逡巡することなく、

積極的に打開策を講ずる等、

自主的に行動することが極めて重要である。

 

 

上記文書には「指揮官とはリーダーシップとはなんぞや!」

というエッセンスが随時散りばめられています。

 

リーダーシップのエピソード

 

僕が過去に体験した中で、過酷な状況で見事任務を達成した指揮官を紹介したいと思います。

 

状況

相次ぐ台風により、僕の住む街の近くが浸水被害に見舞われました。

早速、災害派遣の要請があり、僕はチームごと災害派遣に出動することになりました。

 

現地に到着すると、街は浸水どころか、川の氾濫により、浸水&激流でした。

当然、横殴りの雨と暴風が吹き荒れています。

 

自衛隊の幕舎の中、蛍光灯の明かりの下で街の地図を広げ、警察、消防とともに

市の職員から現地確認と市民捜索ポイントを確認しました。

市の職員は街の住民の安否を掌握済みです。

なので消息不明の住民はすでに一覧表ににして紙で持っています。

そして、これから捜索する消息不明の住民宅等のポイントを

地図上に赤のサインペンで印をつけていました。

それを見て警察、消防、自衛隊がどこを捜索するかの打ち合わせをします。

行動

その際、時は一刻を争います。悠長なミーティングなんてできません。

持っている装備により過酷な場所は自衛隊が行くという暗黙の了解と、

普段から自治体との訓練によりすでに捜索するポイントは決められていました。

 

我々はさっと捜索ポイントの地図を確認し、自分たちが持参してきた地図に書き写し、

再度、チーム編成を組み直し、持ってきた装備品を振り分け現地に向かいました。

 

当時、僕が向かった先は、最も過酷な激流ポイントでした。

4〜5名のチームで、指揮官は寡黙な方でした。

この方は、普段は非常に厳しく、細かい事ですぐに怒る僕が最も苦手とした人物でした。

嫌だなと思いながら、その方が率いるチームの掌握下に入り現地に向かいました。

持って行ったのはゴムボート2隻と無線のみでした。

 

現地につくと、比較的救助しやすい場所に数人固まって避難してしました。

早速、救助し、無線で車両を要請しました。任務は難なく遂行と思いきや、

あと2人足りないことにすぐに気がつきました。

我々はあらかじめ、救助する人たちの人数や性別・年齢などを知っていました。

 

早速、その救助した人達から、残り2人の情報を聞き取りました。

するとまだ、ご自宅に取り残されているとのことです。

消息不明の2人は老人のご夫婦でした。

 

自宅近くまで行くと、我々の行く手を阻むように激流が前進を阻みました。

水が引くのを待つか?それとも応援要請をするか?

という状況の中、みるみるうちに浸水が上へと上がって行くのがわかりました。

 

老人夫婦宅はすでに浸水しており、2階から手を振るのが見えました。

瞬間、生きているという喜びと早くなんとかしなければという使命感が湧いてきましたが、

 

決断

目の前の激流が僕たちの足を止めました。

どうする?どうする?どうする?

僕以上に指揮官の方がプレッシャーで悩んでいるはずだ!!と思い、

例の苦手な方、指揮官の方を見ると、涼しい面持ちで

 

前へと進んで行きます。そう、激流のなかを突き進んで行きました。

 

「え?」と思って周りをみた瞬間、同僚たちはガクガクと震えてました。

そこで、僕は覚悟を決め、君たちはここで本部に状況を報告してくれ!

 

僕は指揮官とともに救助に行く!と告げ、ゴムボートを1隻、引っ張りながら後に続きました。

 

とにかく激流の中を泳ぎ、彼の後を必死でついて行きました。

この時水をたくさん飲みましたが、印象としてオイル臭かったという印象でした。

 

そんな中、ご夫婦の自宅に着き、早速ゴムボートに乗せ、僕と着ていたレインコートを渡し、

ゴムボートの上で体力を回復してもらいました。

案の定、2階まで浸水してきたので、

僕と、指揮官の方2人でゴムボートが流されないように泳ぎながらゴムボートを支えていました。

 

その格好で3時間あまりすぎたら激流がようやく収まり、救助のボートも到着したので

そこで僕たちは命からがら任務を達成することができました。

 

結論

時に、任務を達成するためには、命を落とす危険に晒されたりします。

しかし、そんなことを恐れていては、助かる人も助けられなくなるという現実もあります。

 

指揮官となれば、どっちを選択するのだ?という究極の選択をしなければならない時もあります。

 

救助する人の命か、部下隊員の命か、それとも自分の命か

 

どれも正解というものはなく、答えは結果だけが知っています。

ただ、一つだけ言える事は、正しい判断をするためには、

普段から己の信じた事を貫き通す意志を養うことです。

人に流されす、人の評価ばかり気にしていては、

究極の選択の時に、正しい判断ができません。

 

僕はこの時から、この嫌な人を尊敬の眼差しで見るようになりましたが、

普通の仕事の時は、細かいことでグチグチ怒る、みんなから嫌われ者の上司でした。

 

ただ、僕はすごく尊敬していました。

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